第39回 技術振興賞
名古屋市国際展示場第1展示館(ポートメッセなごや第1展示館)の空気調和設備

受賞者
- 設計・監理・検証
- 株式会社久米設計
- 建築主
- 株式会社竹中工務店
施設等の概要
- 所在地
- 愛知県名古屋市
- 延床面積
- 20,000㎡
- 用途他
- 展示場
受賞の概要
展示施設という大空間を対象にした省エネルギーと快適性向上の両立を目指す空気調和設備である。大空間の空気調和に際して抱える諸課題を丁寧に紐解きその対応策を提案しており、自然換気 ・自然採光などの自然エネルギー利用に加えて、省エネルギー、省CO2技術を採用し、高い省エネルギー性能と環境性能を有することも検証されている。
本業績の主たる評価点は、以下の通りである。
- 空間の熱負荷が不均一になりやすい大空間において、従来のセンサに加えてCFD解析を用いて空間の温度や気流性状をデジタルツイン技術により再現し制御する手法の開発を行い、省エネルギー性と快適性の両立が図られている。
- 高効率空調熱源機器採用と最適台数制御を行い、空調熱源機器のエネルギー利用効率を高めると同時に大温度差変流量制御、きめ細やかな変風量制御及び大温度差空気搬送による搬送動力の低減を図り大幅な省エネルギーを達成している。また、大型シーリングファンの導入によって暖気吹降ろしや気流感の創出にも工夫している。
- AIを用いたバーチャルセンサの構築を実現し、大空間における熱負荷分布に合わせた新たな制御を試みている。IoTと連携したバーチャルセンサと称する技術を用いてこれまで計測が困難であった空間の温度、気流性状などをリアルタイムで再現・予測して制御に用いる、次世代空調制御の可能性を示している。
大空間であることに加えて、イベントに応じて利用者数や利用者の服装や活動量に大きなばらつきが生じやすく、快適で均質な環境を提供するにはエネルギー消費量が増大しやすい傾向にある展示施設を対象に、新たに開発した手法も活用することで、省エネルギー性と快適性を両立したうえで、高い省エネルギー性能を達成している。BEI値は0.24とNearlyZEB相当の省エネルギー性能を実績値において達成し、CASBEE名古屋BEE値においても3.7を達成しており、環境配慮型国際展示場として高い性能を実現している。